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窮屈で、美しい、この町の中で。
はこぶね
クレジット

©︎ 2022 空架 -soraca- film

田辺・弁慶映画祭 TAMA NEW WAVE

202384日よりテアトル新宿
91日よりシネ•リーブル梅田にてロードショー
その後全国順次公開

窮屈で、美しい港町で生きる、
視力を失った男。
“視覚に頼らない世界”の在り方と、
一人の青年の生き方を描きとり
話題を呼んだ作品が、
ついに劇場公開。

とある小さな港町で生きる、視力を失った男・西村芳則。さびれても美しいこの町で、感性を失わず生きようとする西村の姿が、周囲の人々の心を振るわせていく──。

障害や介護、地方の疲弊といった厳しい現実を題材としながら、西村の知覚と感情を追うような、観賞者自身が感覚を研ぎ澄ませる独特な観賞体験が、観るものの心を惹きつける。

主人公の西村を演じるのは、多くの映画監督に愛され、数々の作品に花を添えてきた木村知貴。待望の長編主演作となる本作は、映画祭で上映されるや、その強烈な存在感と独特な佇まいがすぐさま絶賛された。

脇を固めるのは、一時帰郷し西村と再会する同級生を演じる高見こころ。西村の母が他界後に、生活の面倒を見ることになった叔母を演じる内田春菊。認知症の進む祖父を演じる外波山文明など、実力派キャストら。監督は、本作で若手作家の登竜門となる田辺・弁慶映画祭、TAMA NEW WAVEでのグランプリなど、6冠を獲得した大西諒。

ゆったりとした独特なテンポで進みながら、人々の生活と葛藤が生々しく炙り出されていく。

シーン

ストーリー

事故で視力を失った西村芳則(木村知貴)は、小さな港町で、ときに伯母(内田春菊)に面倒を見てもらいながら生活している。かつて同じ通りの家から一緒に通学していた同級生の大畑(高見こころ)は、東京で役者をしながら、理想と現実の狭間で憂鬱なときを過ごしていた。

ある日、西村は大畑と偶然再会する。町にはゆっくりと陽が落ち、そこで暮らす人々はそれぞれの帰路に着く。窮屈で、美しい、その町を眺める二人は、その景色にそれぞれの記憶と想像を重ねる。

港

キャスト

コメント

  • 木村知貴の目が良い。拒絶でもなく容認でもなく赦しでもなく、ただ存在している。今を生きるということを徹底的に描いた映画だ。それだけで尊い映画だと思う。そのうえで、解放と自由をきっちりと描いていて、近頃、亡くなった多くの友人たちのことを思い出した。

    それにしても、木村知貴の芝居で泣かされる日が来るとは、なんてことだ。

    瀬々 敬久

    映画監督

  • 世の中を窮屈にさせているのは自分の感性かもしれない。盲目の青年から僕は気付かされた。

    磯村 勇斗

    俳優

  • 木村知貴さん演じる主人公の魅力的な佇まいにワクワクが止まりませんでした。キャラクターではなく人間でした。その素晴らしい表現にずっと釘付けでした。

    二ノ宮 隆太郎

    映画監督

  • これまでの〝西村くん〟の人生や彼の性格を豊かに表す繊細な木村知貴さんのお芝居によって、わたしはすっかり〝西村くん〟の心の中に入ってしまった。

    彼は、静かに生きながら静かにまわりに影響を与える孤独な救世主だった。そして、この作品は、映画がやっぱり好きだと思わせてくれる、いい映画だった。

    三島 有紀子

    映画監督

  • 孤独と孤高との違いは、人と人との繋がり方にある。盲目である主人公がやや孤高の側にいると思わせるのは、わたしたちの人生もまた常に暗中模索であるからなのだろう。

    松崎 健夫

    映画評論家

  • 去り行く者ばかりの土地に、留まることもまた人生だ。出て行けない悲しい諦観と、出て行かない意思の強さの両面を、主演の木村知貴が絶妙に醸し出す。盲目の主人公が触覚で世界と繋がるように、ひとつの人生が確かな手触りを伴って伝わってくる。人間味のこもった秀作だ。

    矢田部 吉彦

    前東京国際映画祭ディレクター

  • きびしくもやさしく、それでも生きてゆこうと思わせてくれる映画でした。傑作だと思いました。

    矢部 太郎

    お笑い芸人/漫画家

  • あったものがなくなるのはつらい。悲しみに酔う暇もなく次々襲い掛かる現実に、淡々と向き合っていく主人公。彼には、美しい海を見て自分を癒すことすら出来ないのに。

    内田 春菊

    漫画家・出演《中島 知里役》

  • 芳則は海の中に糸を垂らすように一つ上の視点から現実を俯瞰している。あなたにも、わたしにも、そういうところがある。この映画は、そんな程度に面倒な私たちが生きる地平を、海の中から空の下に呼び戻す。

    「人間はお天道様の下で生きている。そのことを忘れちゃダメだ」私が尊敬する映画監督がよく言っていた。この映画も実はそういう素朴なことが映っているんじゃないか。晴れ渡る空を運んでくるような祈りが。だから好きなんです。この映画が。

    小原 治

    ポレポレ東中野/
    第23回TAMA NEW WAVEゲストコメンテーター

  • たゆたう水面に映る像のように、私たちはおぼろげな関係性のなかで生きている。 視力を失った男、西村の映画である『はこぶね』は、視覚だけではわからない不確かな事柄を、確かな感触とともに描き出す。

    西村が釣り糸の振動を通して海中を感じるのと同じように、『はこぶね』を見る私たちは不確かで豊かな人々の生き様に「触れる」ことになるだろう。

    降矢 聡

    グッチーズ・フリースクール/映画配給

  • 2017年のゆうばり映画祭で「トータスの旅」(監督: 永山正史)を観て、主演の木村知貴は日本一の映画俳優だと思った。そして今、大西諒監督の「はこぶね」を観て、木村知貴は世界一の映画俳優だと確信した。傑作「はこぶね」、必見。

    光武 蔵人

    映画監督

  • わたしの目には、さまざまなものごとが映っている。でもちゃんと見えているのだろうか?西村の生活ぶりを目の当たりにして、もっと耳や手、心をつかって、この世界を見て、確かめていきたいと思った。

    山中 美友紀

    真鶴出版

空

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